断熱性能を高めることは、建物全体の保温性能を向上させ、様々なメリットを与えてくれます。
このメリットはとても大きく、逆に一定の断熱性能が確保されないときのデメリットがとても大きいため、建物に一定以上の断熱性能を組み込むことが、パッシブデザインの家のベースを作ることになります。

夏の暑い日差しを室内にいれないための日射遮へいは、夏期における快適と省エネを実現させるための基本です。
最近になって断熱性能は注目されるようになりましたが、日射遮へい性能については理解や工夫が足りないように思います。
断熱性能を高めると、夏の室内が少しづつ暑くなっていくという現象が起きるのですが、この問題を解消するには、日射遮へいのデザインをしっかり考えることが重要です。

夏の暑い時期には、うまく外気を取り入れることにより、涼しさを感じることができます。
レベルの高い通風のデザインを進めて行くときのキーワードとして挙げられるのが、「卓越風向」「立体通風」「高窓」「ウインドキャッチャー」です。
建物の中で風の流れを予測しながら、窓の配置や大きさを考えることを基本に、こうしたキーワードを建物に組み込むことがポイントです。

昼光利用のデザインが目指すのは、昼間に人工照明を点けなくても過ごせるようにすることであり、また自然光による快適な明るさを実現させることです。
「昼間に長く過ごす部屋には2面に窓を設ける」
「それ以外の部屋には少なくとも1面に窓を設ける」
ということですが、他にも様々な技術があります。

言葉通り、冬に日射熱を室内に採り入れて暖房に使うという設計技術です。
重要になるのが、日射熱と採り入れる「集熱」入った日射熱を逃さないための「断熱」入った日射熱を蓄えておく「蓄熱」の3つのデザインを考えることです。
3つが高いレベルで実現できれば、快適性と省エネルギー性が高い建物になります。
地域によっては、日射熱利用暖房がが効果的でない場合があったり、敷地の南側に建物があると、冬の日射が遮られ、十分な集熱ができないため、事前の検討をおこなうことが重要です。